1型糖尿病の発生機序には自己免疫が関与しています。自分自身の免疫反応により膵β細胞が破壊されたり、HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)の遺伝的因子に環境因子や何らかの誘因が加わったりすることで起こります。また、甲状腺疾患などの自己免疫疾患との合併も少なくなくありません。
2型糖尿病との違いは、生活習慣や肥満に関係なく発症することです。発症年齢も、小児~10代と若年者が多いのが特徴です。また、2型糖尿病に比べ、家系内血縁者の糖尿病は少ないです。自己免疫学的な機序により、膵臓からのインスリン分泌がほとんどなくなる、または全くなくなるため、生命維持に危険をきたします。
一方、2型糖尿病はいわゆる「生活習慣病」の一つとされています。もともと糖尿病を発症しやすい遺伝的な要因に、過食や運動不足などの生活習慣の環境因子が加わって発症します。そのため、発症の好発年齢は40歳以上の中年期以降となっています。しかし、最近では生活習慣の多様化から若年層でも増加傾向にあります。また、家系内での糖尿病がしばしば見られます。発症すると、インスリン分泌の低下やインスリン抵抗性により高血糖状態となります。
治療については、どちらも食事および運動療法が大切になりますが、1型糖尿病は早期からインスリン療法が必要です。2型糖尿病は、食事および運動療法を基本とし、症状によって経口血糖降下薬などの内服薬、インスリン療法やGLP-1受容体作動薬などの注射薬といった個人に合った治療薬を使用します。